NSU News

◇愛情教育、この指とまれ◇その176◇アクティブラーニングは学生が主役 vol.6 竹澤 伸一

 中学校教師時の新採研で、指導室長H先生が示した古びた竹ぼうきを見て、なぜ私が「集団でいる生徒たちに見える」と発言したのか。古びた竹ぼうきの竹の1本1本は、長い・短い(途中で折れている)、まっすぐ・あらぬ方向に曲がっている・・と色々です。つまり1本とて同じ竹はないのです。中には使いこんだためくたびれていたり、キズがついている竹もあります。その1本1本が、4月に出会ったばかりの中学生1人1人に重なって見えたのです。

 「S中学校の竹澤先生だね。君のその感性を、ずっとずっと大事にしなさいよ。」H先生のこの一言は、今でも私の耳の奥に残っています。以来30余年、学期の始めにコツコツと生徒(今は学生)個々の名前札をつくる習慣は変わっておりません。たとえ何百人でも必ず作成します。

 もちろん名前を覚えて終わり、ではありません。名前札を見ながら、「君はどこからこの教室に来て、この授業に何を求めているの?そして、やがてどこに向かおうとしているの?」と静かに問いかけます。そしてそれをしてから教材づくりを始めるのです。

 本来なら教材自体も、個々の学生に合わせたハンドメイドが理想。けれどそれは物理的に無理。そこで学生個々の「意識や願いを傾聴するためのツール」を編み出しました。

(つづく)