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◇愛情教育、この指とまれ◇その177◇アクティブラーニングは学生が主役 vol.7 竹澤 伸一

 私が編み出した「学生個々の意識や願いを傾聴するためのツール」とは、「ショートケースメソッド」というツールです。私は1回1回の授業の終わりに、次回に使用する「ショートケース」を配布しています。「ショートケース」とは、A4判1枚程度の「短い物語」のこと。必ずその物語には「主人公」がいて、物語の中で最低1回は「意思決定」する場面があります。

 たとえば「いじめ」を取り上げた「ショートケース」だとしましょう。主人公を若手の教師だと設定して、ある決断をする場面に直面するとしましょう。必然的にその教師は「意思決定」に追い込まれます。そこで、読者であるその授業の受講者に、「あなたがこのケースの主人公だったらどうする?」と問うのです。すでに主人公が何らかの「意思決定」をしていたら、「あなたはこの主人公の考えや行動に賛成?反対?」と問うのです。

 授業の冒頭、「名前札」を配る儀式の後、受講者にいきなり「ケースの主人公になったつもりの意思決定」を問います。必ず参加者全員から聴き切ります。中には全く読んできていない学生もいたり、前回欠席をして「ショートケース」を事前に取りに来ていない学生もいたり・・。でも私は、こうした学生をも排除はしません。学生の行動1つ1つには、必ず意味があるからです。

(つづく)