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◇愛情教育、この指とまれ◇その182◇アクティブラーニングは学生が主役 vol.12 竹澤 伸一

 「地域環境認知論」という授業での、学生からの「傾聴」は続きます。「ねえ、君たちの出身都道府県はどこ?」それこそ北海道から沖縄まで。名産大も当然、全国区。数人、留学生も。

 私はたたみかけます。「この授業は地域の環境を認知するための視点や技法を学ぶ授業だからさ、今から1分ずつで、自分が育ってきた地域の環境の特徴を説明してくれないかな。」数十人いる学生の内、1分間説明しきれる学生が何人いると思いますか?あるいは読者の皆さま、皆さまご自身はいかがですか?

 でも私は、たとえ30秒も説明できない学生であっても、丸ごと「承認」します。「傾聴(全員から聴き切る)」から「承認(とりあえず全員の発言を受け入れる)」へと進むのです。この過程が拙著に描かれています。

 授業がここまで進むと、受講者(学生)の「実態」を、かなり私が把握できてきます。また学生個々も、「自分が生まれ育ってきた地域の環境について、きちんと説明できない自分」に気づいていきます。つまり私が学生を理解し、学生が「学ぶ必要感」に気づくという、言わば「相互接近」が図れるのです。

 私はこれを「学生と教員のマッチング」ととらえています。この「マッチング」が成立すると、授業の局面が動き出します。では次の局面は・・。

(つづく)