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◇愛情教育、この指とまれ◇その362◇明日への飛躍をめざして 名産大3年生物語 vol.22 竹澤 伸一

 「私は生まれてからずっと、愛知県内の同じ町で暮らしてきました。必然的に、コミュニケーションの輪が限られた大きさになり、やや物足りなさを感じていました。縁あって名産大に入学しましたが、コンパクトなキャンパス内は、想像以上に別世界でした。南国の強烈な日差しを感じさせるスポーツマンが闊歩(かっぽ)しているかと思えば、北国の物静かな女子学生が、図書館で調べものをしている光景にも出会いました。大学というところは、東西南北の文化や習慣が、入り乱れて交差する独自の空間が、毎日あちこちで出現する場所なのだということを、改めて知りました。」

 こう文学的に語るのは小塚翔太(コヅカ ショウタ)くん。竹澤(私)ゼミが誇る、ナイーブな好青年です。名産大に入学して、本人にとって異次元のような生活を堪能しながらも、しっかり自分という者を保って過ごしている芯の強い人です。

 もしかしたら小塚くんご本人は、よく覚えていないかも知れませんが、私が小塚くんを強烈に認識したのは、「特別活動研究」という教職科目の、ある1場面でした。ある学生が、学級活動の場面について発言した時に、小塚くんが珍しく反論したのです。それまで可もなく不可もなくの発言をしていた小塚くんが、初めて「自分の色」を出した瞬間でした。私は、この瞬間を「脱皮」ととらえています。小塚くんの人生と、私の人生が、クロスし始めた最初の瞬(とき)でした。

(つづく)