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◇愛情教育、この指とまれ◇その446◇まもなく社会人 名産大4年生物語 vol.16 竹澤 伸一

 「実は人見知りで、初めて会った人と話すのは苦手でした。」松永拓史(マツナガ タクミ)くんは、少しはにかみながら話します。

 「でも今は、初対面の人でもふつうに話せます。4年間の、名産大での生活が、少しずつ自分の心の鍵をオープンにしてくれました。」

 松永くんは、名産大の近隣市の出身。ほぼ、地元っ子と言って良いと思います。ですから、名産大の変遷を見ていて、主体的に選択して入学したのだと思われます。名産大は、松永くんに「選ばれた」大学です。

 私が、松永くんと具体的に交流を始めたのは、一昨年夏の集中授業である「社会科公民科教育法」の時です。この授業は、4年生になって挑戦する教育実習の前哨戦として、大学において、中学校社会科と高等学校公民科の授業づくりの練習をするためにあります。松永くんは、冬の集中授業とともに、実に緻密に丁寧に、本番さながらの授業展開をしてくれました。

 一般に、授業づくりの根幹は、質問(発問)と説明にあります。本連載で、ずっと書いてきたように、私は垂れ流しの講義が大嫌いなので、松永くんたちの授業づくりにも、生徒役の大学生から考え方を引き出すための発問づくりを求めました。

 松永くんは、私の期待にしっかり応えてくれて、「素材を教材に昇華させる発問」を、1時間の授業展開の中に、しっかり入れ込んでくれました。「ああ、松永くんって、丁寧なモノづくりができる人なのだな。」と、つくづく感心させられた瞬間でした。

 松永くんを、しばらく追いかけます。

(つづく)