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◇愛情教育、この指とまれ◇その449◇まもなく社会人 名産大4年生物語 vol.19 竹澤 伸一

 「社会人に向けての目標は、就職先の仕事を早く覚えて、リーダーや工場長になることです。」松永拓史くんは、きっぱりと言います。「そのためには、製砥(せいと)の工程を、完璧に身に着ける必要があります。技術の乏しい人間など、信頼に値しないからです。」己に厳しいところも、松永くんの魅力です。

 おそらく、「製砥」の技術を身に着けることは、文字通り「石の上にも三年」の世界なのだろうと思います。ですから松永くんは、会社勤めをしながら、職人の技術を身に着ける日々を送るのだろうと思います。

 「職人の技術を身に着ける」、まさに伝承ということになります。尾張旭市に隣接する瀬戸市は、まさに「伝承の町」です。何百年もかけて、匠(たくみ)の技が受け継がれてきている土地柄です。

 松永くんがお世話になる「製砥所」は、瀬戸市にあるわけではありませんが、広域瀬戸文化圏とでも呼べそうな位置にあります。まさに「モノづくり愛知」の中核を担っているのです。

 「緻密で丁寧な」仕事をする松永くん。「製砥業」は、天職と呼べるのかも知れません。松永くんの卒業研究のテーマの基盤にあるのが「限界集落」。日本のあちこちで、「限界集落」化によって、匠の技が消えていっています。でも、広域瀬戸文化圏には、松永くんがいます。きっと、良き伝承が続いていくものと思われます。

(つづく)