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◇愛情教育、この指とまれ◇その534◇アクティブラーニングはやっぱり学生が主役 vol.34 竹澤 伸一

「ショートケース 俺って先生になれるのかな?」の続きです。

「『先生、俺って本当に受かったんだね。でもさ・・、俺って先生になれるのかな?』樋口は竹田の目の前にある採用内定通知書に目を落としながらボソっと言った。その姿を見て竹田は色々考えを巡らせた。竹田の見るところ樋口は超がつくほどのまじめ人間である。人間はこれほど頑張れるのかと思うほど採用試験対策をやりきった。ある面、中高大の野球部でのシゴキに耐えたからこそ生まれた根性と言って良かった。竹田の持論なのだが、人間最後は根性が物を言う。竹田は思い切って聞いた。『何を迷っているの?』沈黙が少し続いた。『竹田先生がご存知かわかりませんが、私の恩師が今ピンチなんですよね。体罰の疑いをかけられて。』なるほど、やはりそこかと竹田は思った。事の顛末(てんまつ)を竹田はだいたいつかんでいた。尾張旭市立新居中学校の相田聡教諭(36歳)は、およそ2か月前の8月上旬、夏休みの野球部指導中に一部の部員に無理なトレーニングを課したと保護者に訴えられ、体罰の事案として県警に取り調べを受けていた。ただし相田教諭は体罰を否定。他の部員や保護者たち、あるいはたまたま同時間に活動していたソフトテニス部の顧問も、体罰などなかったと主張していた。どうやらチームの指導方針を巡って、体罰を主張する親子との間に確執が生じていたらしい。尾張旭市教委と愛知県教委は相田教諭から数回に渡って事情聴取を行ったが、複数の親たちが被害届を出したために県警の捜査を見守ることにした。相田教諭は現在でも自宅待機中で、服務は休職扱いとなっているらしい。」

さて、ここで一休み。この「ケース」を事前に読んだ学生から、「先生、このケース、リアルですか?」と、ライン等で問合せがありました。私の回答。「リアルに基づいた創作です。」

(つづく)