学長インタビュー/本学の取組を聞く

2011年3月31日
取り組み報告

就業力育成支援事業の取り組み概要について
伊藤雅一学長に聞く

――「就業力」とはなんですか。

伊藤 学生が学びの中で、社会で働くための基礎的な能力を身に付けることが「就業力」です。

 学生と話していると、みんな社会に貢献したいという気持ちを持っていることが分かります。そのためには(大学で身に付けた)知識を社会に役立てる能力が必要です。これまでの大学教育は教養教育と専門教育を中心に、知識を身に付けるところに力点が置かれてきました。それに加え知識を実社会で応用、発揮する力を養うことが就業力の育成だと考えています。

 文部科学省は昨年2月に大学設置基準を改正して、従来の教養・専門教育に加え「キャリアガイダンス」(職業指導)の導入を(2011年度から)義務化しました。キャリアガイダンスを推進するモデル事業が「就業力育成支援事業」です。厳しさを増す雇用情勢や、企業が求める人材とのミスマッチなどが背景としてあります。

――企業側の採用基準と学生の資質能力に開きがあるということですか。

伊藤 そうです。景気が低迷する中で、企業側に採用した学生を育てる余力がなくなっていることも要因として挙げられます。また、大学進学率が上がる中で、学生の意識や能力が以前と比べて変化していることもあります。

 ここ10年ぐらいから企業が求める人材と大学が排出する人材とのミスマッチが叫ばれています。雇用情勢が厳しくなれば、当然ミスマッチも生まれやすくなります。就業力は、学生が就職の希望をかなえ社会で活躍する上で大切な能力です。

――本学での取組内容は。また、特徴は。

伊藤 本学での取り組みでは、1、2年次に社会実践のための基礎教養、3年次に就業実践プログラム(BTP)、4年次に専門教育へとステップアップし、さらに協定高校とも連携した高大連携プログラムを加えた計7年間のキャリア教育プログラムの推進が大きな特徴です。

 そして、「名古屋産業大学共育コンソーシアム」の設置も特徴の一つです。BTPに企業や地域にも参画していただき「社会人基礎力」を身に付けさせる取り組みです。社会人基礎力は「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力で、基礎学力と専門知識を応用するための正課教育として推進します。現在は9科目ですが、3年後には全科目の3分の1にあたる60科目に拡大する予定です。つまり、カリキュラム全体で就業力を育成していこうという考え方です。

 就業力育成支援事業の採択を受け、新カリキュラムとして配置したBTPでは、社会実践を通じて学びの目的意識や問題意識を高め、知識の必要性を考えてもらうのが狙いです。学外と学内にBTPを設けました。

 学外BTPでは、多彩なインターンシップ(就業体験)プログラムを用意しています。企業インターンシップ、農山村インターンシップ、海外インターンシップの中から選択履修してもらいます。

 また、学内BTPの場として今年3月、学生が主体的に運営する株式会社「名古屋産業大学グリーン・ソーシャルビジネス」を本学内に設立しました。全国初の試みで、LED(発光ダイオード)照明やCO2濃度測定器などを扱う環境ビジネスを関連企業と連携して展開します。

 さらに、新たな科目「地域ビジネス論」を設け、公的な中小企業支援組織との連携講座も目指しています。中小企業診断士育成のための実践的な講座や、経営者向けの研修などを学生向けに改良し実施してもらおうと、計画を進めています。

――取り組みを通じて期待する成果は。

伊藤 就業力育成支援事業に期待する最大の成果は、学生が希望する企業に就職することです。

 本学の取り組みにおいては、連携する企業群が同時に、学生の進路目標企業であることが望ましいと考えています。学生が実践的に企業と接する中で、その企業に対する理解を深めることができるからです。就業力を身に付けながら、目指すべき企業が具体的にイメージでき、学ぶ目標が明確化され、採用に向かって努力できる、そういった仕組みができると思っています。

 また、企業側にとって大学教育や教育の仕組みそのものが納得できるものであれば、一緒に就業力を育成する「共育」の場が生まれるわけです。当然、人材のミスマッチは解消されます。

文部科学省WEBサイト

大学生の就業力育成支援事業
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/shugyou/1292891.htm

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