◇愛情教育、この指とまれ◇その31◇荒川真吾先生のトレーニング論、他の授業vol.2 竹澤 伸一

 荒川真吾先生は言います。「わかること、できることは面白さに通じるんですよ。」と。思わずはっとさせられました。私は大学の教員になる前におよそ30年間、公立中学校で教鞭をとっていました。その時常に感じていたのです。「わかる授業」こそ「面白い授業」なのだと。荒川先生の一言で原点に帰る思いでした。そういえば荒川先生も大学以外でも教壇に立っている人でした。

 荒川先生の「トレーニング論」(座学)の授業の受講者。スポーツ未経験者はいません。だから実技に絡めて解説をします。すると学生がふと気づきます。「そうか、今の筋肉・関節の動きは、あの時の自分の動きだったんだ。」と。これを「腑に落ちる」と言います。

 荒川先生の「健康とスポーツ」の授業。実技です。例えばボールを投げる動作。下半身から腕に至る連動。とことん噛み砕いて解説します。うまくいかない学生には個別指導も。

 ところが荒川先生、時々あえて「面白くない授業」もします。理論や解説の詰まったスライドを高速で流します。学生はメモを取るのに必死。「世の中は面白いことだけではありません。面白くないことでも乗り越えさせる必要があるんですよ。」

 荒川先生の授業、奥行きがあります。

(つづく)