貿易赤字と葦
- 2012年2月13日
- (コラム就業歳時記)
2011年の日本の貿易収支は、31年ぶりに赤字となったことが報道された。昨年は、東日本大震災とそれに引き続く原発停止による化石燃料の輸入増加、タイの洪水による生産量の落ち込みに加え、円高が定着してきたことで海外への工場移転が進んだことなどが原因と言われている。
日本は原材料を輸入し、加工貿易で経済が大きく発展してきた。一方、国内では高齢化の進行に伴う年金問題や消費税上昇などの重要な課題も山積している。実際、円高が大幅に進んだ30年前から日本の賃金は世界で最も高い国の一つになってしまったので、コストダウンのために組立産業の工場の海外移転が急速に進んできた。
その結果、日本の技術力は後退しただろうか? 就職率は下がっただろうか?
日本は他国と競争して新しい商品を生み出す技術力があるし、大きな就職率の低下は無かったが、自動車、家電の分野での韓国企業の成長が著しいことも聞く。景気減退などの局面では就職率が下がる場合もあるが、韓国のような大きな低下は見られていない。
国内需要の減少だけを見ていては、市場は狭まるばかりである。今後は、国内市場での変化に対応した「新たな視点」での製品開発、海外勢との競争に負けない品質やコスト削減などが求められている。
我々は、このような変化を先取りした(国際的な)人材を育成すると共に、自らも開発に取り組まねばならないだろう。だから・・・誰でも、いつまでも勉強が必要なんだろう。楽(らく)して儲かる仕事を探したいけど、そんなものは無いだろう。
「人間は考える葦」であり続けなければならないのでしょう。
社会人基礎力・学部教育部会 成田暢彦