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◇愛情教育、この指とまれ◇その794◇ 令和の時代に挑戦しよう。 名産大3年生物語 vol.74竹澤 伸一

ある企業の方が、名産大のインターンシップ生に語った言葉。「会社を弱体化させ、遂には滅ぼすのは、トップダウンと評論家なのですよ。」よくよく学生から聴いてみると、このように言った方は、転職組だそうで、以前に所属した会社が倒産したという苦い経験が、こう言わせたのだそうです。さらに学生から話を聴いたので、その方の話を再現してみます。

「そんなに大きくはないですが、歴史の古いメーカーではありました。先々代が創業し、先代が事業を拡張したのですが、三代目社長が、すべてをダメにしてしまいました。私は、先代社長の最後の年に入社したのですが、社内の役職に関係なく、何でも話は聞いてくれて、これは良いとなったら取り入れてくれました。しかし、3代目になったら、そんな雰囲気は一変しました。先代と変わらず、話だけは聞いてはくれます。でも、何か決める時は、いつもトップダウンです。私も、他のやり手社員も、はじめは皆意見を言っていました。しかし、常に聞くふりだとわかってきて、結局、誰も何も言わなくなりました。そして、もっと最悪なことが起こりました。心ある社員が、皆、評論家になってしまったのです。チャレンジすることも、汗をかくこともやらなくなり、陰に回っては、三代目社長やお互いの悪口の言い合いです。そうなったら会社は、もうおしまいです。私が、この会社に転職した半年後に、とうとう不渡りを出して倒産してしまいました。」

インターンシップ生からの又聞きなのですが、実に考えさせられる話だと思います。「トップダウン+評論家」で組織は弱体化・・。おそらく全国各地で起こっている現象なのではないでしょうか。「評論家」が多数存在するので、一見、「多対多のコミュニケーション」が成り立っているように見えるかも知れません。でもそれは、「評論のし合い」であり、換言すれば、「会議のための会議」を繰り返しているに過ぎないのです。「どうせ、上に何を言ってもダメだから、仕事をするふりをすればいいさ。」に陥っているのです。

今回、「3年生物語」で取り上げた学生たちは、インターンシップ等によっても、多様な学びを積み重ねています。ずっと以前に、本連載でも書きましたが、社員が転職や退職をしていく原因のかなりの部分は、コミュニケーションの不具合が発端であるという統計もあります。自由で闊達(かったつ)なコミュニケーションこそ、組織力の源であると、私は「3年生」から学びました。

(つづく)