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◇愛情教育、この指とまれ◇その845◇アクティブラーニングで開花しました。 名産大4年生物語 vol.35竹澤 伸一

「私は生まれ育った地域のJAで働かせていただくことになりました。自分の、この就活の帰結は、この上ないものだと思っています。」

小塚翔太くんは、心底、郷土愛、地域愛に満ちた表情で語ってくれました。サポートしてきた者としては、万感の思いがあります。

「私は、農業はまちづくりだと思っています。昔から、いい農業はいい土づくりからと言われていますが、いい土づくりをするためには、いい人づくりが必要だと思います。私が奉職するJAには、6万人に迫る組合員の皆さまがいらっしゃいます。その組合員さんと協力して、いい人づくり、いい土づくり、そしていいまちづくりができたら、心底ありがたいなと思っています。」

小塚くんは、本当に「人」が好きなのです。だから、「人」を育てるために教職も選択したし、人格を破壊する「いじめ」という行為に対しても、解決法を模索して、研究を深めていったのだと思います。

小塚くんを深掘りしているうちに、かつて中学校教員の時に「こどもエコクラブ」の活動で関わった、ある教え子を思い出しました。彼女は、大学の実習で、完全無農薬有機栽培を実践するファーム(農場)に行き、早朝の畑で野菜の声を聴き(注、オカルトの世界ではないですよ、念のため。)、いったんは農業従事者を志しました。けれども、この野菜の声を、教育実習先の生徒たちに届けたのをきっかけに家庭科の教師になり、勤務校の周りから始め、今では近隣住民と行政を巻き込んで、かなり大規模な自前のファームを造ってしまいました。もちろん地域のJAとも連携を深め、営農指導を受けたり、逆に食育を普及したりして、地域に深く深く溶け込んでいます。

小塚くん、確かに農業は「人づくり」そして「まちづくり」ですよ。そしてある面、究極のアクティブラーニングの発揮の場所ですよ。何せ自然相手なので、目の前で何が起こるかわかりません。この「何が起こるかわからない」のは、私が小塚くんたちと創ってきた授業と同じです。プランAしか提示できず、それに沿った人間しか評価できない講義では、決して対応できない世界が農業です。だから小塚くん、あなたなら大丈夫。「何かが起こっても」柔軟に対応できます。

(つづく)