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◇愛情教育、この指とまれ◇その884◇紙上討論、アクティブラーニングについて本音で語り合う。 vol.4竹澤 伸一

竹「Yさんより、『情報の伝達より学生のスキルの育成について討論を深めよう』というご提案がありました。アクティブラーニングの『一般的な特徴』の、2番目の柱ですよね?皆さま、ご異議はありませんか?」

4人の討論者は、黙って賛意を示してくれました。

S「その前に、1点、確認をお願いします。『一般的な特徴』のその1に、『学生は、授業を聴く以上の関わりをしていること』とあります。私は、学生が『授業を聴く』のは当然だと思ってきたのですが、竹澤先生は、本連載で、ずっと『講義』について否定的な見解を述べてこられましたよね?先生は、学生が講義を聴くことを、どのように思われているのか、改めて語っていただけますか?」

このS先生の問いかけは、私にとって、とても本質的なものでした。

竹「はい、私が『講義』について否定的な考えを持っていることは、それこそ否定しません(笑)。でも、『講義』を完全否定したことは、実は一度もありません。ずっと主張してきたことは、『垂れ流しの講義はいかがなものか』ということです。今でも、多くの中学校教員は、授業のスタートから、『はい、教科書の何ページを開いて』とやります。目の前の中学生が、どんな状態で、どんな興味・関心を持って、その先生を見つめているのかなんて、てんでお構いなしでズンズン教科書を進めていきます。あくまでも一般論ですが、大学の教員は、もっとひどいです。便利なパワポンの資料を提示しながら、滔々(とうとう)と90分語って終わりです。私が最近見たある『講義』では、80人ほど参加していた学生のうち、30人ほどが寝ていて、30人ほどがスマホをいじっていて、やっとこさ20人くらいが、時々手を動かしてノートらしきものをとっていました。S先生は、学生が『授業を聴く』のは当然とおっしゃいましたが、私は、当然とは思っておりません。だから、『一般的な特徴』においても、『授業を聴く以上の関わり』と、あえて『以上』を付けているのだと思うのです。」

S先生は、私の語りに、誠実に耳を傾けてくださっていました。そして口を開きました。

S「では、竹澤先生は、その『以上』の部分を、どのように思われているのですか?」

(つづく、あと116回)