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◇愛情教育、この指とまれ◇その897◇紙上討論、アクティブラーニングについて本音で語り合う。 vol.17竹澤 伸一

「便箋23枚に及ぶ恩師の手紙」に触れた討論者の皆さんは、しばらく沈黙していました。最初に口を開いたのは、高校教師のSさんでした。

S「ずっと以前に、竹澤先生に、自分のクラスで授業をしていただいたことがありました。その2週間前に、生徒に実施してほしいということでアンケートが送られてきました。授業内容に関わるアンケートと、生徒のプロフィールを尋ねる内容が混在していたので、アンケートの意図を計りかねていたのですが、竹澤先生と初対面にも関わらず、ものの10分もしないうちに生徒が動き出したので、びっくりさせられた記憶があります。プロフィールノートづくり、中学生や高校生に対してだけではなく、大学生に対しても、変わらずに実践されていたんですね。」

他の討論者の皆さんも、一様に感心したような顔を向けてきました。私は、むしろ恐縮して、言い訳のように口を開きました。

竹「最初はどうしても、学生個々は未知の状態です。授業やゼミは、基本、信頼関係で成り立っているわけですが、実際のところ、学生1人1人が何を考えているかわからないじゃないですか。S先生のクラスで授業をさせていただいた時だって、生徒さん1人1人を満足させられる授業がつくれるか、不安で不安でしようがなかったわけですよ。だから事前にアンケートを取らせていただいて、ついでにクラス写真も送っていただいて、それをコピーして座席表をつくって、そこに生徒さん1人1人のプロフィールをできるだけ書き込んで・・。そのプロフィールにマッチングさせる形で、授業展開を組んでいくわけですよ。」

私のこの発言に、鋭く反応したのが商社勤務のKさんでした。

K「私が竹澤先生の授業を受けていた大学では、1教室に200人以上の学生がいる場合もあったですよね?確か、先生は960人のレポートを読んで、コメントをつけて返却したとおっしゃっていましたが、960人以上の学生のプロフィールも記録していたんですか?」

「はい。」あっさりと答えた私に、討論者は沈黙しました。私は口を開きました。

竹「この学生に読ませて良いのか、書かせて良いのか、さらにさらに議論などさせて良いのか、不安になりませんか?」

(つづく、あと103回)