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◇愛情教育、この指とまれ◇その960◇名産大生、5年後、10年後の夢を語る。 vol.60竹澤 伸一

「大学を卒業して就職するということは、自分でお金を稼ぐようになるということです。ただ、単にお金を稼ぐだけなら、アルバイトでも良いわけで、大卒の就職とは、意味合いが全然違いますよね。」

河島佑弥(カワシマ ユウヤ)くんは、自分の言葉を噛みしめるように語り出しました。

3年生の河島くんは、本格的な就活には、まだ少し間があります。それなのに、意識が先に行っているのは、やはりコロナの時代の中での就活という、漠然とした不安感があるからかなと感じました。そこで、話を向けてみました。

竹「来年卒業予定の、現4年生も、昨年とは大違いで、就活戦線の中でもがいています。そして、河島くんたちの時は、さらに不透明になるかも知れないです。やはり、今から不安感はありますか?」

普段から物静かな河島くん、さらに思索顔になりました。

河「不安感がないと言えばウソになります。4年生の皆さんが、名産大の手厚い支援のもとでも、例年になく苦労されていることは知っています。でも・・、コロナの問題が降ってわいたのと同じように、自分たちでコントロールできないものは、あれこれ考えても仕方がないような気がするんです。」

河島くん、憂い顔というよりは、一種達観したような表情になりました。私は、河島くんに深く関わるようになって、まだそんなに月日は経ってはいないのですが、この達観したところが、案外、河島くんの強みなのかなと思い直しました。

竹「今、河島くんが言った、自分でコントロールできないものは、あれこれ考えても仕方がないという考え方って、あきらめちゃうこととは違うんだよね。」

河島くん、真顔になって、こう言いました。

河「はい、あきらめることとは根本的に違います。むしろあきらめないということです。コロナという外部要因については、なるようになれという気持ちです。でも、どんな世の中になろうと、自分は自分。自分のやれること、やるべきことは変わらないということだと思います。」

ここですね、河島くんの「らしいところ」は。「マイペース」「ブレない心」・・、色々な表現が当てはまりそうですが、そうした表現は、若干、陳腐に映ります。

(つづく、あと40回)