マレーシアで会計士として働くためには

 日本で会計士になるためには、会計・法律・経営・経済など多岐にわたって出題される国家試験に合格しなければなりません。それでは、アジアの会計士はどのようになっているのでしょうか。今回はマレーシアの会計士について紹介します。

 マレーシアで監査(会社の決算書が正しく作成されているかについて第三者の立場からチェックすること)を行うためには、勅許会計士としてマレーシア会計士協会に登録しなければなりません。勅許会計士の資格を取得するには3つの方法があります。第1の方法(2013年2月現在、全体の36%)は、マレーシア国内の大学学部で会計学の学士号を取得し、監査法人などで3年間の実務経験を積んで勅許会計士になる方法です。現在、マラヤ大学など17の大学学部が認められています。第2の方法(全体の63%)は、英連邦諸国の職業会計士団体において会計士の資格を取得したのちに、マレーシアの勅許会計士として登録する方法です。イングランド・ウェールズ勅許会計士協会など11の職業会計士団体が認められています。残念ながら、日本公認会計士協会は含まれていません。第3の方法(全体の1%)は、マレーシア会計士協会が実施する会計士試験(ビジネス法、監査、税法、財務会計の4分野の資格試験)に合格する方法です。

 マレーシアで会計士になる最短の道は、マレーシアの会計学部に留学し、卒業試験に合格したのち、監査法人で3年間の実務経験を経て勅許会計士になる方法です。あるいは、英連邦のいずれかの国で会計士の資格を取得するのも1つの方法です。日本で会計専門職大学院を修了し、司法試験と並んで難しい公認会計士試験に合格したとしても、勅許会計士として働くことはできません。マレーシアでは、日本の公認会計士の資格を持った人は日系企業のコンサルタントとして仕事をしています。

松田 修