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◇愛情教育、この指とまれ◇その70◇吉永茂樹先生の実学教育系の授業vol.4 竹澤 伸一

 「数年前に、ある教え子が訪ねて来ましてね。」と吉永先生。「教職を取っていた学生でしたが、結局、教員にはなりませんでした。でも教職を取っていたことで、自分が起業したあと、社員を指導するための視点として、教職で学んだことが大いに役立ったというのですよ。」

 私は、なるほどな、と思いました。教育実習の3週間、実習生は授業がうまく行かず、生徒と上手にコミュニケーションが取れず、真剣に悩みます。私も3桁に及ぶ実習生と付き合ってきましたが、順風のままで実習期間を過ごした学生は皆無でした。逃げ出したい衝動に耐えながら何とか実習をやり切った時、その学生は見違えるほど成長します。教育実習の、他のインターンシップと違うところは、「教えられながら教えなければならないこと」にあります。つまり指導教官に指導を受けながら、自分が生徒を指導しなければならないという二重構造を体験するのです。教育実習ならではの唯一無二の体験と言えると思います。

 吉永先生の教え子は、商業系の実学教育の確かな指導法を身につけつつ、その指導法を活かした人生を送っています。そしておそらくその根底には、目の前の相手に向ける「優しい目線」があると思います。

(つづく)