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◇愛情教育、この指とまれ◇その82◇松瀬留美子先生の臨床心理系の授業vol.3 竹澤 伸一

 臨床心理系の授業では、映像を使うことが多く見られます。例えばリストカットの映像。映像を見せて受講者の反応を細かく探って、率直な気持ちを発表してもらいます。「何がリストカットをさせるのか。」「リストカットをしている時の気持ちはどんなものなのか。」まさに「臨床」の授業なので、当事者に寄り添って考え、発表して共有します。

 「世の中には行動制御(自己制御)できない人が存在します。例えば何か行う時に、どうしても時間内にできない人とか・・。この状態を改善するためにはどうすれば良いのか、心理学的にどのようなアプローチができるのか、事例研究することはとても意味があります。」と松瀬先生。私は著名な「マシュマロ実験」というものを思い出しました。部屋に独りで置かれた子がマシュマロを食べたいのを我慢すると、最終的にご褒美が得られるという実験です。行動制御の臨床の奥深さ。

 臨床とは文字通り「寄り添う」こと。つまり、その人の身になって一緒に考えること。その「誰かに向き合う体験(演習)」を積み重ねていくと、全部自分に返ってきます。心理学を突破口にして、「今ある自分」から「次への自分」に飛躍できるチャンスをもらえます。「大学は人生を決めるところです。」と松瀬先生。

(つづく)