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◇愛情教育、この指とまれ◇その533◇アクティブラーニングはやっぱり学生が主役 vol.33 竹澤 伸一

それでは、実際に「教職実践演習」の授業を再現してみましょう。「ショートケースナンバー636」を使用した授業です。タイトルは「俺って先生になれるのかな?」

ケースの冒頭は、こんな文章で始まります。「樋口繁雄は名古屋産業大学現代ビジネス学部の4年生。手には分厚い封筒を握りしめている。今、樋口は、ゼミ担当教官の竹田伸男の研究室の前にいる。ある大事な報告に来たのだが、ドアをノックするのをさっきからためらっていた。『なんだ樋口君じゃないか。どうした、入りなさい。』樋口をドアのガラス越しに見た竹田が、中からドアを開けてくれた。樋口はバツが悪そうに中に入った。『どうしたの?専門ゼミは明日の3限だよね。何かの相談?いつもなら事前に、ラインで連絡をくれるよね。』樋口は竹田に促され、竹田と向かい合って座った。『先生、実はこれが午前中に送られてきまして・・。』竹田は樋口から差し出された分厚い長形の封筒を受け取った。表面には『愛知県教育委員会』と刻印されている。竹田にはピンとくるものがあった。手早く中にある折りたたまれた書類を見る。そこには樋口の名前とともに『愛知県公立中学校教員採用内定通知書』と書かれていた。竹田の表情が一気にゆるむ。『おい、樋口君、やったじゃないか。採用内定通知書だよ。良かったなあ。来年の4月には中学校の教壇に立てるんだよ。』竹田は満面の笑みを浮かべて祝福してくれた。そこで樋口はやっと実感がわいてきた。」

さて、ここで一休み。この後、物語は意外な方向に進みます。ところで「ショートケース」ですが、限りなくリアルな内容でないと、学生はのめり込みません。また、その主人公になったつもりで追体験した時、確かな知識や考え方が学生個々人に残らなければ意味がありません。次回、「一変する物語」をお楽しみください。

(つづく)