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◇愛情教育、この指とまれ◇その566◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.16 竹澤 伸一

趙曦霖(チョウ シリン)くん。中学生の時、隣国から来日し、名産大のある尾張旭市の隣接市にお住まいです。専門学校に通い、日本語を猛勉強してマスターしました。高校で、さらに猛勉強して、成績を上げ、名産大に「大志」を抱いて入学してきたのです。

趙くんの、名産大入学の目的は、ずばり「教員免許を取得すること」です。社会科、とりわけ歴史に興味があるので、学びの中心に据えるつもりです。

趙くんの出身国から、日本は、太古の昔から学び続けてきました。稲作、陶磁器、漢字、仏教・・。「漢倭奴国王」「親魏倭王」に関わる関係性。都の造営の仕方、果ては律令のような法制度まで。遣隋使、遣唐使に始まる交流、最澄・空海による学びの伝播等々。古代から中世に至る日本文化の礎(いしずえ)は、間違いなく彼の国からの学びの成果と言えると思います。私も、かつて中学校社会科歴史的分野の授業を、中学生とともにアクティブにつくっていた時、大陸や半島の文化の奥深さに、しばしば畏敬(いけい)の念を禁じ得ませんでした。

残念ながら、特に現代史の中で、彼の国との関係が悪化し、不幸な事態を招いた時期がありました。国と国との関係は、複雑な思惑が絡み、単純に割り切れるものではないことは、読者の皆さまも十分にご存知だと思います。

趙くんが「大志」「初志」を変えなければ、やがて共に社会科あるいは公民科の授業をつくる時が訪れると思います。今から私は、その時を楽しみにしています。

歴史の授業(歴史教育)は、担当する教員によって、「歴史観」が様々に展開されます。場合によっては葛藤(かっとう)が生じることもあるかも知れません。でも、それも含めて、歴史の授業づくりは面白いのです。

(つづく)