NSU News

◇愛情教育、この指とまれ◇その567◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.17 竹澤 伸一

趙曦霖くんは、さっそく考えています。「中学校や高校の社会科(地理歴史・公民科)の先生の授業で、眠くなってしまう授業と、眠くはならない授業の違いってなんだろう。」と。

授業内容が、興味の持てるものか、そうではないかの違い。提示される教材が、スリリングなものか、平凡なものかの違い。社会、とりわけ歴史の先生になりたいと思っている趙くんなので、「生徒を眠らせない授業」は大きな目標であり、課題です。

私は、中学校教員の時でも、大学の教員になってからでも、今、目の前で展開されている授業内容が、自分自身とどう関係してくるのか、いつでも考えてもらってきました。例えば、聖徳太子が『冠位十二階の制』を制定した意味を考えてもらう時には、こんなリーダー(太子のこと)のもとで役人をやりたいと思うか、こんな役人の言うことに従うことができるか、蘇我氏の世の中のほうが良かったと思うか、などと自分に落として考えてもらっていました。そして、どのような考えも発言も、いったんは全部受容していたので、「寝る生徒」は1人もいなかったと記憶しています。

「寝るスキ」を与えない工夫もあります。大学の授業でも、ふつうにやっていますが、テキストの「声を出しての輪読」です。順番通り進むと見せかけて、時には逆順、右回り左回りと、様々試しています。声に出して1人1人読むことで、空間を共有することができますし、実はお互いの体調さえ把握することもできます。「本日は、この内容、この課題について、寄ってたかってみんなで検討するんだ」という空気感をつくることもできます。

趙くんと一緒に授業をつくっていくことで、「眠らせない授業」のシミュレーションができればと思っています。

(つづく)