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◇愛情教育、この指とまれ◇その570◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.20 竹澤 伸一

「大学生の今になっても、高校の先生、監督さんに言われた一言が、鮮明に頭に残っているんです。」三宅敬之くんの柔和な表情が、サアッと変わりました。

「『いいか君たち、練習でできないことは、試合では絶対できないんだよ。』という一言です。正解はないのが大学の授業で、ウエイトリフティングの練習にも色々なアプローチがあるのですが、この一言だけは真実だと思います。」

私は、三宅くんの言葉に襟を正す思いでした。そこで、三宅くんの次の言葉をじっと待ちました。

「ウエイトリフティングは、力のかけ方や、引き上げの角度で、挙がったり落としたりが決まってしまいます。常日頃の練習1本1本が、ある面ですべてなんです。1本も無駄にできませんし、力のかけ方、そして角度を模索しながら、反復練習をして身体に良いイメージを染み込ませるんです。」

なるほど、剣道で言えば素振りと同じだなあと、私はつくづく思いました。剣道は1本1本の素振りに深い意味があります。ウエイトリフティングも同様に、1本1本の試技に重要な意味があるのでしょう。

「私は練習が好きなんです。面倒くさい練習も、『試合の時の究極の1本』に確実につながるんです。1本1本、反復練習して重さと格闘することは、授業の中での試行錯誤と似ていて、実は楽しいことなんだと思います。」

三宅くん、もはや「求道者」の域ですね。ということは、将来的に生徒を育てる資質が芽生えていることも意味するのだと思います。なぜなら、安易に結果を求めず、生徒に試行錯誤することの大切さを伝えることができるからです。

(つづく)