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◇愛情教育、この指とまれ◇その580◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.30 竹澤 伸一

突然ですが、読者の皆さま、「要約力」という言葉をご存知ですか?例えば、著作や論文、記事などを読んだ時に、著者の一番言わんとしていることを的確につかみ、まとめ直す力のことを指します。この要約力が、刈谷駿介くんにはすでに身についているのではないかと、私は判断しています。

「教育作用」の論文を、「教育原理」の授業で輪読した話はいたしました。難解とも言える論文でしたが、刈谷くんは、「要するに、この論文が言いたいことは、こういうことですか?」と要約してみせたのです。

1.教師は大人で生徒は子どもである。2.大人としての教師が、自分たちの世界に子どもを組み込んでいくのが「教育作用」である。3.大人としての教師も、常に自らの世界を形成していかなければならない。4.教師は人間(子ども・本人)を全面的に発達させるよう努力しなければならない。5.そのために教師は、日々研究し続けなければならない。

ふーむ、実にみごとな要約です。皆で輪読した論文には、コンテキスト(直訳すれば「文脈」のこと)という言葉が多用されています。刈谷くんの要約の「2」に当たる、「大人が子どもを自分たちの世界に組み込む」際に、子どもの「文脈」で組み込んでいかないと、単に旧態依然とした「大人文化」に従わせることになってしまいます。でも、「4」のように「子どもも大人も同時に発達して行ければ、大人は子どもの『文脈』を意識しながら」教育ができるわけです。

「読み取り」と「要約」に長けた刈谷くん。あとは場数を踏めば良いと思います。そうすれば、子ども(他人)の人生のために全力で頑張れる先生になれると思います。

(つづく)