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◇愛情教育、この指とまれ◇その594◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.44 竹澤 伸一

「国も時代もバラバラなのに、同じ考えの教育思想家がたくさんいるのは何故なんだろう?」「教育原理」の授業で、「西洋教育史」に登場した著名な教育思想家の考えを概括して、玉川翔くんがつぶやきました。この「概括」という作業、抽象的な理論学習には欠かせないプロセスです。

ここからは私見ですが、「西洋教育史」を紡いできた教育思想家を、ざっくり2つに分類すると、「児童中心主義」の考え方と「系統主義」の考え方に収斂(しゅうれん)させることができると思います。「児童中心主義」を代表する人物としては、ルソー、ペスタロッチ、デューイなどが挙げられ、Dくんが感応したモンテッソーリなども含まれると思います。一方、「系統主義」を代表する人物としては、コメニウス、ヘルバルト、ブルーナーなどが挙げられると思います。(注、この分類法には異論が生じることも承知しています。)

「児童中心主義」の教育思想は、「経験からの学習」を大事にします。一方「系統主義」の教育思想は、「学問体系の教授」を大事にします。よく、「学習か教授か」という、極めて単純化した論争とも言えない論争が起こることがあります。あるいは、いわゆる「アクティブラーニング」は「教授なき学習」だと、本質を貶(おとし)めるような単純思考をする人も見かけます。

ところが玉川くんは違いました。「子どもの経験をもとに学習を組もうが、完全教え込みの教授を組もうが、その国、その時代の教育思想家が、その時の実情に合わせて懸命に考えたことなのだろうから、どちらかが一方的に正しいということはない。」と概括したのです。玉川くんは、ミニレポートの中で、「国家と国民の関係」にさえ言及しています。玉川くん、只者ではありません。

(つづく)