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◇愛情教育、この指とまれ◇その755◇ 令和の時代に挑戦しよう。 名産大3年生物語 vol.35竹澤 伸一

「結果を残したいと思っているのは、部活動だけではありません。半年後に迫った教育実習でも、自分なりの結果を残して、母校に貢献したいと思っています。」谷優紀さんは、引き締まった表情で語ってくれました。

谷さんは、すでに、「地球環境問題をエネルギー問題からとらえ直す」という、高校公民科の単元・授業づくりをやり終えています。単元の中核になる1コマの模擬授業では、まず参加者(教職仲間の3年生)の、個々の「エネルギー認識」を問うことから始めました。

エネルギー問題の授業は、総じて、現状の知識を総花的にまとめてしまおうという講義式に陥りやすいです。そこを谷さんは、あえて発電に絞って、参加者が認識している発電方法を、洗いざらい発表してもらいました。「バイオエタノール」「バイオマス」「風力」「原子力」「太陽光」「地熱」「火力」「水力」・・、生徒役の教職生は、何の脈絡もなく、バラバラに挙げていきます。

そこで谷さん、発言の度に拾い上げ、列記するのではなく、カテゴライズしながら板書していきます。この場合の「カテゴライズ」とは、種類分けのことです。枯渇エネルギーか再生可能エネルギーか、環境に優しいか優しくないか、高コストか低コストか・・という基準で、発言を種類分けしていくのです。生徒役の発言が終わると、黒板に、エネルギーのマトリックスができあがっていました。

読者の皆さまは、これからのエネルギーは再生可能なものの方が、社会的価値は高いということは、十分にわかっていらっしゃるでしょう。でも、供給安定性とか、技術の追いつきとかの問題や、コストがネックになって、エネルギーの移行がうまく進んでいないことも、よくご存知だと思います。

谷さんは、授業の中盤から、「エネルギーマトリックス」を活用しながら、生徒役と会話を始めました。ここで活用されるのが、「肚や肝の据わった対話術」と「ブレない直線時間」です。模擬授業とはいえ、真剣勝負です。教職生同士、和やかな関係の中でも、授業となると遠慮がありません。でも集中した10分足らずの中で、エネルギーミックスの会話は途切れることなく続き、ブレない結論めいたものにたどり着きました。谷さん、さすがです。

(つづく)