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◇愛情教育、この指とまれ◇その808◇続々、名産大のキャリア支援の今をお伝えします。 vol.8竹澤 伸一

『名産大4年生就活成功物語』の主人公である4年生に、私が最後に聴いたのが、「自分にとって就活とは何でしたか?」という問いです。「心境」「苦労」「やってみたいこと」「ご家族の反応」と聴いてきて、最後に就活全体を振り返ってもらいたいと思ったのです。

実は、私には、個々の大学生にとっての「自分にとって就活とは?」を取材する以前に、そもそも大学生が就活をすることの意味の解明が、大きなテーマでした。大学を卒業する時は、就活をするのが当たり前、ではなく、大学生の就活の根本的な意味を、立ち止まって考えてみたいと思ったのです。大学の授業は講義形式が当たり前となると、思考停止に陥ります。それと同じように、大学卒業時は就活するのが当然となると、その意味が見えなくなります。

誤解を恐れずに書きます。名産大生に限らず、大学生を育成するには「社会的コスト」がかかります。あえて単純化すると、大学を設置し、運営しなければなりません。卒業後に、職業人として活躍してもらうために、知識とスキルを身に着けてもらわなければなりません。職業人なら、専門学校卒でも、高卒でも、あるいは中卒でも良いのですが、「大卒としての力量」を発揮してもらうために、学ぶ環境を整え育成しなければなりません。高卒にはない大卒としての力量の証明のため、大学は環境を整備し、最低4年間、教職員が汗水たらして、1人1人の大学生を育成し、世に送り出しているのです。

そして、もちろん「コスト」を負担しているのは、『就活成功物語』の主人公への4番目の質問に当たる、ご両親を中心としたご家族も同じです。最大の「コスト」は学費、そして大学生活を送るための諸々の費用です。これも単純化して書くと、「親はなぜ子どもを大学に行かせるのか」という問いにも帰結します。この問いに対する回答は、家族・家庭ごとに皆異なるので単純化はできませんが、「なぜ卒業時に就活をするのか」という問いと連動するのは、間違いないと思います。

まるで堂々巡りのような書き方をしました。でも、読者の皆さまに、これだけはわかっていただきたいのです。4年生を目の前にして、ニコニコ顔でインタビューしている私は、「目の前の君をインタビューできている意味や背景」を、常に考え続けているということを。

(つづく)