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授業紹介:経営組織―小崎峰利氏による講義

経営組織(マネジメント概論)―小崎峰利氏による講義『一流を育てる組織論』―

“組織”とは、バーナードによりますと、2人以上の人々が協力し合っている状態のことを言います(C・I・バーナード著『経営者の役割』ダイヤモンド社、1938年)。また、その“組織”と呼ばれる状態にするには、経営者らは①共通目的、②貢献意欲、③伝達(コミュニケーション)の3つを確保することが必要不可欠になります。

「経営組織」(マネジメント概論)の第8講では、受講生にこのバーナード組織論をより深めてもらうために、『一流を育てる組織論―ポテンシャルを引き出す指導法―』(ザ・ニュースパイラル出版、Kindle版、2019年)を執筆された、本学サッカー部監督の小崎峰利氏を招聘いたしました。小崎氏は元日本リーグ(JSL)の選手で、2010年に本学のサッカー部を創立。わずか9年で、強豪チームの集まる東海学生サッカー1部リーグに昇格させた実績を持ちます。また、小崎氏が設立した名古屋フットボールクラブでは、大岩一貴選手(湘南ベルマーレ)、大南拓磨選手(柏レイソル)など20名のプロサッカー選手も輩出しています。

 

さて、小崎氏の授業を拝聴し、意外だと思いましたことは、その20名の中でも小崎氏が本当に素晴らしい生まれ持った才能があると感じた選手はわずか2名しかいなかったということでした。では、どのようにして残りの18名の選手はプロの選手になることができたのでしょうか。そのことについて、小崎氏は「『予測と配慮』の修得」と分析しています。具体的に述べますと、その18名の選手たちは、生活の中で「予測と配慮」(例えば、横断歩道で信号が変わりそうだけど渡り始めようとしているおばあさんに、信号が赤に変わりますよと伝えること)を心がけた結果、サッカーの上達(例えば、受け手のスピードや状況を予測したパスにつながる)へと導いたのだと、小崎氏は考えるのです。また、小崎氏は「予測と配慮」を修得することができれば、プロ選手になれなくても、大学卒業後、サッカー部の学生たちは組織人として、知識労働者として充実した職業人生を歩むことができると論じられました。

したがって、本学のサッカー部では、共通目的「予測と配慮(の修得)」を掲げています。そして、ミーティングやブログで“小崎塾”を開催し、そこで、サッカー部の全学生に何度も繰り返して「予測と配慮」の意味と価値を説き続け(伝達)、彼らを鼓舞し(貢献意欲)、組織と呼ばれる状態を作ろうとしているのです。その結果、東海学生サッカー1部リーグ昇格へとつながったのです。

 

最後に、小崎氏の講義を聴いた学生の感想を紹介したいと思います。

学生の感想

■サッカー部の学生の感想
「365日、グラウンドで聞いている話だけど、改めてピッチ外で聞くと、自分にとってすごくタメになると実感した。『リーダーがダメだと組織、チームがダメになる。』サッカー部では、みんながキャプテンになれと監督に言われている。チームの一人一人がリーダーだから、誰一人として、ダメになってはいけない。真面目に大人にならなければならない。そう意識して、チーム、組織を強くしていきたい。」

「小崎監督の今日のお話はいつもグラウンドで聞いていますが、違う観点から話を聞くことができた。小崎監督が言っていた一つ一つの言葉はあたりまえのようにできているようだが、全くできてなく、いつもその言葉で自分を気づかせてくれます。今後も同じ話をきくとは思いますが、その言っていたことを自分のものにしていきたいと思った。」

「真面目に人の話を聞いて、実行しようと意識することが無意識にできるようになり、社会に出た時に、恥ずかしい大人にならないようにするための話だと思いました。」

「小崎監督が選手もグラウンドも何も無い状態から、ここまでつくり上げてきたのは、本当にすごいと思いました。そのおかげで、自分もここでサッカーが出来ているので、改めて感謝です。」

■サッカー部以外の学生の感想
「最初は13人だけのサッカー部を、わずか9年で東海学生サッカー1部リーグまで上げ、強豪校に生まれ変わらせたという小崎監督はやはりすばらしい人格であると思いました。組織をここまで立派につくり上げた人はやはりちがうと思いました。一つの目標を実現するためには、やはりまじめにやるという基本的なことを心がけることがとても大切であるということを今日、小崎監督から学びました。」

「監督個人の目標として、学生を違いのわかる大人に、社会に出ても大丈夫なようにする、ということにすごいなと思いました。名古屋産業大学のサッカー部では、チームを勝たせるということだけでなく、人として成長できるように指導することも重要だとおっしゃっていたことがとても印象に残りました。」