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◇愛情教育、この指とまれ◇その844◇アクティブラーニングで開花しました。 名産大4年生物語 vol.34竹澤 伸一
「卒研の4人の共同研究で『いじめ問題』を扱うことを決めた時、どうせなら今までにない解決法を提案しようということになりました。」
小塚翔太くんは、およそ2年前の、3年生の春学期のある1日を思い出していました。
「まず最初は『いじめ問題』の現状を、4つの観点から分担して調べることになりました。1人は、学校の教室でのできごとを追う。1人はネットいじめと言われるSNS上の問題を追う。1人はいわゆるスクールカーストの実態を追う。そして最後の1人は、現状で試みられている『いじめ問題』解決法を追う。こんな分担になりました。」
もちろん私も、この4人に伴走していたので、研究のスタートアップの時期を思い出していました。
「ところが、研究を始めて1か月もしない頃に、解決法を模索していた研究仲間が、早々に悲鳴をあげてしまったのです。」
私もその日のことをよく覚えています。「だめだ。どれもこれも精神論ばっかりで、『いじめ問題』の解決には実効性がないや。」『いじめ問題の解決法』の資料を、何十編もリサーチしていた1人がつぶやきました。小塚くんは、「スクールカースト」の実態を懸命に追いかけていたのですが、やはり実効性のある解決法の無さに、心を痛めていたのでした。
その時です。別班である「トレーニング班」の1人が、こうつぶやいたのです。「精神論でダメなのはトレーニングも一緒さ。トレーニングはすればするほど付加価値が上がるけど、いじめはすればするほど損をするという仕組みみたいなものはできないの?」
そこから小塚くんたち「いじめ研究班」の議論は、一気に加速していくのです。小塚くんの言う「ゼミ生同士の学び合い」が、また1つ開花した瞬間でした。
「教育実習で、母校の高校にお世話になった時、自分の故郷に貢献していきたいという意識が急速に膨らんでいきました。幸い、母校での実習期間ではスクールカーストらしきものは見えませんでしたが、目前で起こっていることを懇切丁寧に見て、そこからとことん考えていくという習慣は、どんな現場に行ってもついてきたなあと思えるようになりました。」
(つづく)