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◇愛情教育、この指とまれ◇その850◇アクティブラーニングで開花しました。 名産大4年生物語 vol.40竹澤 伸一

「いじめ問題」を扱った、「教職実践演習」の授業で使用したショートケースの、ストーリーのあらましはこうです。かつて私が中学校教員の時に、たまたま見知った事例を参考に、大幅にデフォルメして作成しました。このケースメソッドに、中嶋涼太くんたちも参加し、大いに頭を悩ましました。

「・・・ある中学校教員Aが、運動部の朝練のため早朝出勤したら、すでに職員室が騒然としていた。昨晩遅く、Aが副顧問をしている運動部所属の1年生Bくんが、集合住宅のベランダから飛び降りたとのこと。現場にはメモが残されており、入学以来の運動部におけるいじめが、加害者の実名入りで告発されていた。幸いBは、階下の植え込みに落下したため、骨折等はあるものの一命はとりとめるとのこと。発見が明け方であったため、管理職と生徒指導部(当該部活動の主顧問も所属)および学年主任クラスの教員にしか知らされていない。(中略)短時間の打ち合わせの後で、緊急全校集会が開催されることになった。加害者と目される生徒は別室で聴き取りに入る。A教諭も、聴き取りのメンバーに加わることになった。(後略)」

およそ2千字前後の「ショートケース」です。主人公はA教諭。実際のストーリーは仮名にしてあります。A教諭を軸に物語は展開し、授業に参加している「教職の勇者」たちは、A教諭になったつもりで追体験していきます。時には「ショートケース」を、2、3週にまたがる続き物にすることもあり、「勇者」たちは、「ケース」と「ケース」の間に横たわる課題について、調べてくることも課されます。

「鬼」と化している私は、「勇者」たちに傍観者になることを許しません。「ケース」の場面ごとに意思決定を迫り、全員に発言させディスカッションさせ、ミニ・レポートの提出を求め、翌週の冒頭で返却してフィードバックします。

中嶋くんは、この「ケースメソッド」を思い出しながら、こう言いました。「番外編でご紹介いただいたように、私は都道府県の警察官になります。長いこと勤めていれば、きっと『いじめ』のケースに出会うこともあるかも知れません。そんな時、ギリギリまで意思決定を迫られたこのアクティブラーニングが役に立つことがあるかも知れません。その意味でも、ありがとうございました。」

(つづく)