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◇愛情教育、この指とまれ◇その885◇紙上討論、アクティブラーニングについて本音で語り合う。 vol.5竹澤 伸一

「(学生の)授業を聴く以上の関わり」の「以上」について、S先生から問われました。S先生も含め、4人の討論者の皆さんが、固唾をのんで私の言葉を待っている緊迫感が伝わってきました。

竹「私は、授業における『講義』の部分は、学生の皆さんの授業への関わりをつくる導火線だと思っているのです。中学校の授業では、50分のうち、15分ほどの展開を3つ用意し、素材に発問をくっつけて教材化し、知識の確認の場面と、教材に沿って徹底的に考えさせる場面とに分けて展開していました。もちろん最初の3分から5分は、本日学ぶ内容に対する生徒の関心度を調査して、複数用意をしていた教材を組み替えて展開していました。つまり、①私が生徒に聴く、②生徒が私の説明を聴き準備をする、③生徒が教材を真ん中に置いて、調べる、話し合う、発表する等の動きをする、④生徒のつかんだことを私が整理して新たな疑問をつくる、というようなサイクルを形成していました。」

ここまで言い終えた時、「あのう、いいですか?」とKさんが口を開きました。私は「どうぞ」と促しました。

K「ありがとうございます。竹澤先生は、『現代青少年論』の授業でも、『情報化社会と職業観』の授業でも、授業の終わりに、次の授業の課題となりそうなプリントを1枚、必ず配っていらっしゃいましたよね。そこには、すでに問いがあって、3分の2くらいの学生は、予め調べて授業に臨んでいたと思います。それは、中学校でもやっていたのですか?」

するとMさんも、「聴いていいですか?」と手を挙げました。私は「どうぞ」と言いました。

M「それって、この前の研究会で紹介されていた『種まきプリント』のことですよね?先生は、大学でも実践されているんですね?」

4人の討論者の視線が、私に集まります。私は「種まき」の「種明かし」をすることにしました。

竹「私はずるい人間でしてね。授業の終わりと、次の授業の始まりを、1枚のプリントでくっつけているんですよ。教職の授業は、オリジナルのテキストを学生全員が持っていて、のっけから私の『傾聴』に耐えられるように、学生は時間をかけて準備しているんです。環境ビジネスの専門科目には『種まきプリント』があります。つまり学生は、私の授業では、『講義』を聴くのではなく、私に『聴かれる』ところから始まるのです。」

(つづく、あと115回)