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◇愛情教育、この指とまれ◇その892◇紙上討論、アクティブラーニングについて本音で語り合う。 vol.12竹澤 伸一

高校教師のSさんが放った言葉、「教師はMCができない人が多い」に対して、議論百出の様相はとどまるところがない感じになってきました。言い出しっぺのSさんは、Kさんの「胸襟を開いてくれる教師」という表現に大きくうなずくと、口を開きました。

S「別に、ここでまとめるつもりはないのですけれど、要は、『講義式で伝達したがる教師』と、『学生・生徒から何かスキルを引き出すために、寄り添うための手立てを持っている教師』というふうに大別できるということですかね。これは、自分自身の、約30年の教師生活を振り返っての、大きな反省を込めてのことなんですが。」

しばらく目を閉じて考えこんでいた、就活コンサルタントのYさんが、ゆっくり目を開けました。

Y「就活コンサルをしていると、文部科学省や経済産業省あたりからの通達に、関心を向けざるを得ないんです。少し前になるのですが、経産省は、社会人基礎力という概念を打ち出しました。色々批判する人はいますが、私は個人的には、わかりやすくて良い考え方だと思っています。そして文科省。皮肉を言うつもりは毛頭ないのですが、通達が大好きな役所が、初めて学生・生徒に対して、あるいは、学生・生徒から何かを引き出そうとしている教師に対して、Kさんのおっしゃる胸襟を開いてくれたのが、アクティブラーニングだったんじゃないかと思うんですよ。」

ここまでの討論に参加していて、私はある種の感動を覚えていました。本連載をすべて通読され、それを踏まえて、わざわざ時間を作って討論のために参集してくださった方々です。ただ私は、高校教師のSさんが大別された、「知識伝達型教師」と「スキル引き出し型教師」という区分けに、若干の違和感を感じました。そこで次のように発言しました。

竹「皆さま、ありがとうございます。アクティブラーニングという教育手法に真摯に向き合ってくださって感謝いたします。ここで、中学校教員から大学教員に転じた身として、実感を込めて述べておきたいことがあります。Sさんが大別された2タイプの教師については異論はないのですが、『0か100か』という区分けではなく、『1%から99%の間』というのが実態ではないかと思うのです。」

(つづく、あと108回)