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◇愛情教育、この指とまれ◇その891◇紙上討論、アクティブラーニングについて本音で語り合う。 vol.11竹澤 伸一

高校教師のSさんが放った「教師はMCができない人が多い。」に対して、討論の出席者は一様にうなづきました。しばらく黙って、討論の行方を見守っていた私は、ここでおもむろに口を開きました。

「MC、つまり司会者ですね。司会者は、自分を黒子にして、出席者を輝かせる人のことですね。多々、異論はあるかとは思いますが、私が考えるMCベスト5は、敬称略にすると(笑)、第1位、マツコ・デラックス、第2位、上田晋也、第3位、中居正広、第4位、安住紳一郎、第5位、タモリなんです。申し訳ないのですが、さんまさんや、たけしさんは入ってこないんです(笑)。もし、この5人の方が授業をやったら、学生の知識もスキルも、大いに上がるでしょうね。」

この私の発言をきっかけに、討論は蜂の巣をつついたようになりました。

Y「先生が挙げた5人の方々、見えないところで相当勉強なさっていますよね。本日来る予定のゲストの方々のプロフィールをはじめ、番組の進行に関わるゲストのエピソードを、スタッフも含めて丹念に洗い出しておくのですよね。私は、この5人の方々も納得ですが、フリーアナウンサーの久米宏さんも挙げておきたいと思います。報道番組をやっていた時に、夜の番組なのに朝から局入りして、入念にスタッフミーティングを繰り返していたといいます。現場のリポーターの性格や得意技なども熟知していて、久米さんとなら仕事がしたいってスタッフは多かったそうです。単なるキャスターというよりMCだと思います。」

M「竹澤先生を前にして大変失礼なものの言い方になってしまいますが、思い切って言わせてください。私たち中学校教師は、まず教科書や教材を見るのではなく、目の前の生徒の実態を見ます。子ども1人1人の顔を浮かべた上で、指導案というより授業案をつくります。でも、大学の先生はどうなんでしょう。学生1人1人を、番組に喩(たと)えればゲストと見なして、自分が黒子のMCに徹して、学生から何かを引き出していくという姿勢を持った先生っているんでしょうか?」

Mさんに問い詰められて、口を開きかけた私を制して、Kさんが口を開きました。

「私が過ごした大学4年間の中で、少しずつ増えてきていたなという印象を持っていました。講義をただ進行させるだけではなくて、学生に向かって胸襟を開いてくださる先生が・・。」(

(つづく、あと109回)