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◇愛情教育、この指とまれ◇その975◇名産大生、5年後、10年後の夢を語る。 vol.75竹澤 伸一
「松下幸之助さんについては、家電で生活様式を一変させたのが社会貢献と言えると思いますが、高田明さんの場合は、エンタメの要素も入った家電の普及の劇場化という点で、社会貢献を果たしたと言って良いと思っているんです。」
渡邊健介くんは、取り組んでいる卒研の中間の中間発表の体裁で、具体的に語ってくれました。竹澤ゼミ3年生2020は、卒研の共同研究の共通テーマが「社会貢献」と決まり、10名全員が自分の就活目標と関連づけて、すでに走り出しています。
竹「渡邊くんが、幸之助さんに注目して、ネットにないような細部まで調べ上げてきたことは、十分理解できました。で、高田明さんの情報は、例えばどこから得ているの?」
私は、興味津々で聴きました。大学生が卒研に挑む際に、情報のソースとして何を見ているか、何を活用しているかをつかんでおくことは、指導教官としては当然のことです。でも、そんな立場云々よりも、渡邊くん個人への関心が、より大事なのです。
渡「東洋経済新聞社から刊行されている『伝えることから始めよう』という、高田明さんの著作があります。成功した経営者にありがちな自慢話集ではなく、むしろ失敗事例が豊富に載せられています。」
ここで、いったん渡邊くんは、頭の中の整理をおこないました。
渡「ある街で、小さな商いから始めた高田さんは、いつも他人がやらないことに挑戦をしてきました。できるわけがないとか、無理だとか、前例がないとか、決して口に出さず、できるんだという理由を、何度も何度も語り続けたのです。1人また1人と、自分の考えを『伝えることから始めた』のです。そして事業が軌道に乗ってくると、お客さま相手に『伝えることから始めた』のです。この『伝え続けること』が、大きな力になって、通販によって家電等を、安価に確実に届ける道を開拓したわけです。そして、その後の高田さんの生き方を見ていると、事業で儲けるだけではない、何か社会全体を動かして行こうとするようなエネルギーを感じるんですよ。」
渡邊くんは、大きな存在だけれども、自分が追いかけてみたい人物と、その行動を見据えているのです。卒研を通して、就活も見越して、渡邊くんがどこに、何に向かうか、伴走を続けていきたいと思います。
(つづく、あと25回)