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◇愛情教育、この指とまれ◇その612◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.62 竹澤 伸一

「日本の戦時中の軍国主義教育は、本当に悲惨だったのですね。幼い子どもまでが軍事教練に駆り出されて・・。あと、日本古来からの儒教の影響ですか。影響と言うより、儒教の悪用のような気もしますね。」丹羽貴博くん、なかなか本質をつかまえるのが上手です。さらに丹羽くん、こんな分析もしてみせました。

「たとえ戦時中であっても、日本人の教育者の中には、生活綴り方運動に代表されるような、自由で民主的な教育のあり方を追究していた人がいたのですね。だから敗戦後に、米国流の自由教育が導入されても、各地で対応が可能だったのですね。それが、日本人の、日本の教育の底力なのかも知れませんね。」

丹羽くんが指摘したいことは、たぶんこうです。戦前、戦中の日本の教育は、明らかに軍国政権の主導によって歪(ゆが)められてきました。しかし、その中にあっても、大正デモクラシーの時期に隆盛した、自由教育の「根」は残っていたのです。それが戦後、一気に教育が民主化された時に活かされたのではないかと解釈したのです。丹羽くん、実にすばらしいです。

でも戦後も、教育の動静、あるいは傾向は、時の政権、あるいは社会の風潮によって、ずっと揺れ動いてきました。過度な競争による受験地獄が起こったかと思えば、極端なゆとり教育に傾き、今はまた「脱ゆとり」路線に回帰したりしています。本来、子ども(人間)の自立(自律)を支援する教育の世界には、いたずらに流行にとらわれない、万古不易のものがあるはずです。

丹羽くんのように、教育問題を見る「確かな目(芽)」を持った名産大生が少しずつ誕生してきています。講義ではない、アクティブなディスカッションの中で、視野は着実に広がっています。

(つづく)