あなたにとって働くとは

 「青田買い」=まだ稲が実っておらず田んぼが青々としている時期に収穫量を見積もり、先物買いをすること。稲は確保したいが、きちんと稲が実るかどうかの不確実性は残る。青田を買う方の気持ちは分からずとも、青田側の実る前の稲の立場に立てば、きちんと実をつけることに専念しなければならない。稲の実をつけるということは、最終的に誰かが喜んでくれるということで、働くと言うことは誰かを喜ばせることを意味する。稲は自らを実らすために、梅雨時期に十分な水を得て、夏は十分な日照を得て、秋は大風から実を守り、常に病気や害虫から身を守らなければならない。それもこれも、最終的には誰かを喜ばすため。自分が誰かを喜ばせることができれば、逆に誰かがあなたを喜ばせてくれる。青田買いは一種の「期待」であり、それを自らの努力の糧にするのはよしとしても、その期待を重荷に感じたり、青田買いされないことをふて腐る必要は決してない。現代の「青田買い社会」にそう思う。

加藤悟