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◇愛情教育、この指とまれ◇その238◇名産大新入生の夢をご紹介します。 vol.48 竹澤 伸一

 「死ぬまえにこれまでの人生が楽しく充実していたと思えるような人生」を送りたいと願うIくん。では私がとても良く知る「ある男性」の、次のような人生はいかがでしょうか。短くご紹介いたします。

 「ある男性=彼」は、望まないのに異国で生まれました。そして家族の都合で来日し、ある港町で暮らしました。幼い時、その後何年も苦しむことになる大病を患い、車椅子の生活を余儀なくされ、悲惨ないじめにも遭いました。唯一信頼できる教師と出会ったことが転機になり、リハビリも兼ねた武道によって「ふつうの」日常生活を送れるようになり、負けん気に火が点いて人の何倍も勉強して、何とか大学へも行けました。でも彼は「ふつうの人生」って言っています。

 さて大学で軽い気持ちから「人の代わりに文章を書く」楽しみを知り、以来40年ほど、毎日何らかの文章を書いています。なぜか「人にものを教える(注、彼は一緒に考えているだけと言い張っています。)職業に就いていますが、毎夜遅くまで、相変わらず幽霊のように、人の代わりに文章を書いています。助けられた人は軽く万単位。週末は別人のように東奔西走しています。

 彼を知る人は、「いったいいつ寝てるの?」「あんたの正体は何なの?」と言い、「まさに波瀾万丈の人生だね。」と評しますが、彼は、ごく「ふつうの人生」を送っていると思っているようですよ、Iくん。

(つづく)