NSU News

◇愛情教育、この指とまれ◇その565◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.15 竹澤 伸一

「『合ってる、間違ってるなんて関係なく、とにかく思ったことを発言して。そうすれば、それを丸ごと評価するから。』と、授業で竹澤先生がおっしゃった時、正直、私の中で、衝撃が走りました。」石山祐輝くんは、目を少々丸くしながら語りました。

石山くんは語り続けます。「教師というものは、学ぶ人たちに教えるというイメージしか持っていませんでした。でも竹澤先生は、学ぶ人たちに意見を求め、正解・不正解関係なく発言を求め、その発言をいっさい否定しません。ただし、どうしてその発言に至ったのか、根拠や理由を丁寧に聴いていきます。そして、関連する発言をつなぎ合わせていくと、教室の中に緩い合意のようなものが出てきます。教育の問題は、唯一絶対の正解はないので、みんなでプロセスを追うことで、どうやら解決方法に近づいていく感じがします。なんか、授業の面白さ、考えることの楽しさを、毎回味わっています。深い学びが続いているので、力が湧いてきます。」

「主体的で、対話的で、深い学び」、かの文部科学省も提唱している学び方です。もちろん、受け身の講義などで身に着くはずはありません。西洋教育史の中に登場するソクラテスを例に取りましょう。講義式の授業だと、どこで何年に誕生して、こんな有名な言葉を発して、こんな業績を残したと、パワーポイントの資料をかざしながら、だらだらと説明するのでしょう。

これが「アクティブラーニング」だと違います。基礎資料を配布した後で、「ソクラテスとプラトンは、なぜその時代に必要だったのでしょう?」と問いかけるところから始めます。学び手は、まず基礎資料から読み取ったあとで、文献やSNS等を駆使して調べ、時代と人物を結びつけようとします。これが石山くんの言う「考えることの楽しさ」に通じます。

(つづく)