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◇愛情教育、この指とまれ◇その576◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.26 竹澤 伸一
「教育原理の授業で、皆で輪読した『教育作用』の論文、難しかったけど、心に残るものがありました。」木村竜くんは、しみじみと語ってくれました。
「子どもは、大人を見ながら成長していきます。それを、この論文の著者は『教育作用』と言っています。前世代の大人たちが創りあげてきた文化を、継承することが『教育作用』の1つだとも言っています。」木村くんは、ここで「ふうっ」と息を一つ継ぎました。
「でも、その『文化の継承』を、子どもはそのまま鵜呑みにしてはいけないのですよね。子どもが『大人文化』をどのように解釈して受け取るか、それを大人の側がじっと見ていて、その子どもの様子から、むしろ大人のほうが学ぶのだと思います。『教育作用』って、大人と子どもの相互作用のことなんですよね?」木村くんは、授業を振り返りながら、自分の中でゆっくり消化していきます。
「結局、この世の中には、大人と子どもしかいなくて、お互いに引き合ったり押し合ったりして生活しているのですね。その典型的な場所が、学校なんだと思います。」
今度は木村くん、少し遠くを見つめるような目をしました。
「私は、教育原理の授業を受けたことで、少しずつ自分が変わってきたことを感じています。自分を変えて、自分の地元に帰って、大人として何者かになっていく。1回1回の授業で、考えて考え抜いて、自分を少しずつ成長させることができたらと思っています。」
木村くんたちと輪読した論文、かなり難解でした。でも、木村くんは、こう読みました。ミニレポートを全員分読むと、それぞれ微妙に受け取り方が違っていました。もともと多様な教育観を持った若者たち。違って良いのです。
(つづく)