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◇愛情教育、この指とまれ◇その606◇令和の時代を生き抜く 名産大1年生物語 vol.56 竹澤 伸一
「私たちも、橋本くんたちと同様に、ザビエルに注目しました。ザビエルの頭頂部だけに注目したわけではないですよ(笑)。」林祐希くんは実に楽しそうに話します。
「もともとザビエルのイメージは、イエズス会の宣教師として、日本にキリシタンを増やしたというだけにとどまっていました。せいぜい西洋の医療技術で、住民に貢献したから、信者が増える要因になったくらいしか、エピソードとしても知りませんでした。それが、ちょっと視点を変えると、教育者としての貢献になるのですね。教育史を学ぶ意味が、よくわかりました。医塾をつくった人、漢学塾を隆盛させた人、自分の起こした塾が大学までに発展した人・・。日本の教育史も、捨てたものではないですね。」
さらに林くんは、こんなことも話しました。「その前の授業で、教育史の中では、児童中心主義と系統主義が、行ったり来たりしていることを学びました。ふと思ったのですが、私たちの世代は、よく『ゆとり世代』と言われます。別に、『ゆとり世代』にしてくれって頼んだわけではないんですけどね。それはともかく、私たちは、どちらかと言えば児童中心主義の教育を受けてきたと言えるのでしょうか。『ゆとり=児童中心』と単純にとらえることはできないとは思いますが。」
なかなか鋭いですね、林くん。教育問題に少しは詳しい人の中でも、「ゆとり教育=児童中心主義」と短絡的にとらえて、しかもさらに短絡的に「点数が下がった」「国際競争力が落ちる」などと騒ぎたてている人がいるのです。「教育原理」の授業で、この度皆さんと共有できたように、要は「2つの主義」の「いいとこどり」をすれば良いのだと思います。こうした議論ができる林くん、すばらしいです。
(つづく)