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◇愛情教育、この指とまれ◇その661◇令和の時代を楽しもう。名産大2年生物語  vol.31竹澤 伸一

「当面、まず確実に教員免許を取得できるように頑張ります。で、その後の進路は、人事を尽くして天命を待つですかね。」兒玉啓哉くんは、にっこり笑いました。私は、その柔和な表情から、かえって真剣味を感じました。なぜなら、目が笑ってなかったからです。やはりピッチ上の格闘技をしている人は、目が違います。

取材不足で、詳しくはわからないのですが、おそらく兒玉くんは、プレーヤーだけではなく、サッカーの指導者を念頭に置いているのだろうと思います。では、サッカーに限らず、競技スポーツの指導者に必要な資質とは何なのでしょうか。私見ですが、私は3つあると考えています。

1つ目は、「引き出す力」です。名プレーヤーだった監督に多い気がするのですが、自分ができたことを、過度に選手に要求することがあります。自分と選手とは、能力も個性もまるで違います。その選手の特徴をつかみ、その能力を最大限発揮させてこそ、有能な指導者と言えると思います。

2つ目は、「分析力」です。自軍の選手の分析ももちろんですが、相手チームの科学的な分析は欠かせません。「己を知り相手を知れば百戦危うからず」は、いつの時代にも当てはまる、勝負ごとの絶対的な真理だと思います。

3つ目は、「感情の抑制力」ではないでしょうか。どの指導者も、自分の手塩に掛けた選手はかわいいものです。でも、その選手のプレー中は、感情を抑制して冷静に観察する必要があります。称賛はオーバーで良いと思いますが、叱責はクールにです。感情を表に出し過ぎると、選手は指導者の顔色を見てプレーしてしまいます。

兒玉くんは、とても豊かな表現力の持ち主です。でも、冷静な目の持ち主でもあると感じています。このバランスが、将来、物を言うような気がします。

(つづく)