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◇愛情教育、この指とまれ◇その693◇令和の時代を楽しもう。名産大2年生物語  vol.63竹澤 伸一

「将来は、高校の商業科の先生になりたいと思っています。ほとんど募集も、採用もない現状ですが、あきらめずに挑戦していきたいと思います。」

長谷川真史くん、目の奥を光らせながら語ってくれました。確かに、高校商業科教員の採用状況は厳しく、どこの都道府県も採用人数は1桁が普通で、年度によっては採用ゼロなんていうこともあります。長谷川くんが、あきらめずに挑戦と言うのも、身につまされた話なのです。

ところで、高校商業科、別の表現を使えば商業高校では、どのような科目を学ぶのでしょうか。おおよそ次のようになります。

まず「基礎的な科目」として、「ビジネス基礎」があります。より専門的な学習への動機付けの役割を果たしています。次に「総合的な科目」として、「課題研究」や「総合実践」などがあります。商業に関する体験的な学習として、商業高校の履修率が高いです。

より専門性が高い科目として、「マーケティング分野」なら「マーケティング」や「商品開発」など、「ビジネス経済分野」なら「ビジネス経済」や「経済活動と法」などがあります。さらに「会計分野」なら、お馴染みの「簿記」や「財務会計」など、「ビジネス情報分野」なら、「情報処理」や「プログラミング」、あるいは「ビジネス情報管理」や「社会と情報」などの科目があります。

こうして見ると、高校商業科の科目は、まさに実務教育が中心です。ビジネスの現場に出て、その日から使える科目のオンパレードです。その科目を、高校商業科の教員は担当するのですから、実務内容に精通し、かつ時には教え込んだり、演習、実習を通して引き出し、習熟させなければなりません。

だからこそ、民間企業での実務が、商業科の科目で生きてくることが多々あると思います。民間企業での回り道は、決して無駄ではないのです。この点では、国語や社会のような教養系の科目とは一線を画すと思います。

長谷川くん、長い挑戦にはなりますが、あきらめないことだと思います。スポーツの世界では、よく「練習は裏切らない」と言います。ビジネスの世界では、「実務は裏切らない」のだと思います。

(つづく)