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◇愛情教育、この指とまれ◇その731◇ 令和の時代に挑戦しよう。 名産大3年生物語 vol.11竹澤 伸一

「私の将来の夢は、完全に二極化しているんですよ。」宮脇正志くんは、少々はにかむように語ってくれました。

「ん?二極化って??」と、私は思わず聞き返しました。

「テレビ局に入って、制作の現場で頑張りたいのが1つ。そして、もう1つが教員なのです。」宮脇くんは、率直に言ってくれました。

私は、しばらく沈黙しました。そして考えをまとめると、宮脇くんに言いました。

「宮脇くんさ、決して二極化していないと思うよ。よくよく考えてみたけど、君の考えている方向性は、むしろベクトルが一緒だと思うよ。」

こう言うと、宮脇くんは怪訝(けげん)そうな顔を私に向けてきました。そこで私は、私の率直な思いを伝えることにしました。

確かに、一見、テレビ局員と教員とでは、対照的な印象を受けます。片や表に出ず、出演者を引き立てる仕事。片や思いっきり自分を子どもや親の前にさらして、毎日発信する仕事です。けれども、すでに読者の皆さまもお気づきのように、教員は黒子として、特に目の前の子どもたちを引き立てていく職業でもあります。黒子として、番組を育てるのか、子どもを育てるのかだけの違いです。

「なるほど、そう言われてみればそうですね。ベクトルは一緒かもしれませんね。」

繊細な言葉の使い手であり、授業の本質に目覚めた宮脇くんの行く末は、何かを育てる人、換言すれば「クリエイター」のような気がします。番組を育てるのでも、子どもを育てるのでも、「創造性」が鍵になってきます。夏季のインターンシップで、テレビ局の制作の現場に立った宮脇くん。あと半年余りで教育実習を体験する宮脇くん。私は傍らで、「創造性」のお手伝いをしていきます。さらに第3の道も見つかるかもね。

(つづく)