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◇愛情教育、この指とまれ◇その762◇ 令和の時代に挑戦しよう。 名産大3年生物語 vol.42竹澤 伸一

「1、2年生の頃は、毎日夢中で、サッカーばかりやっていた気がします。でも、ただ楽しいだけの時間は、いつかは終わりが来るのです。卒業後の自分をイメージして、ふと我に返る瞬間がありました。そのタイミングで、教職論の授業に出会ったのです。」齋藤瑞樹くんは、およそ1年前のことを振り返りながら、
ポツリポツリと話し始めました。

「教職論の授業は、1人の中学校新人教師の成長物語を、ショートケースストーリーを追いかけながら追体験するという展開でした。思うに、アクティブラーニング中のアクティブラーニングでした。主人公の新人教師は、日々、失敗を重ねます。その時、周囲の先輩教師などから助言を受けるのですが、その背景に、巧みに教育法規などが織り込まれているのです。むりやり記憶を刷り込まれるような講義ではなく、緊迫する物語の中で、自然に必要なことを身に着けられるような構成なので、飽きることなく授業にのめり込むことができました。」

ここまで語った齋藤くん、急に恥ずかしそうな顔になりました。

「ある日、竹澤先生の挑発(笑)にうっかり乗せられてしまい、教職の仲間の前で、単独で授業をすることになりました。自分としては、比較的分かりやすい単元だったので、教科書さえあれば、何とか授業の形は作れると思いました。ところが、いざ始めてみると、自分の知識が、いかに表面的なものかが一気に露見してしまい、立ち往生してしまいました。先生は、すぐにフォローしてくださいましたが、頭が真っ白になっていました。でも、あの体験が、自分の転換点になったと思います。」

その後の齋藤くん、「楽しいだけの時間」を終わりにしました。教職と、もう1つの柱を自分に立て、寸暇を惜しんで勉強するようになったと言います。

「すみません。もう1つの柱は、しばらく秘密にしておいていいですか?教職と同じくらい大事な柱なのですが、どちらに、より自分の適性があるのか、もう少し時間をかけて見極めたいと思うので。」

齋藤くんとは、いつでも会ってお話が聴ける間柄です。「楽しいだけの時間」を脱した齋藤くん。ゆっくり、確実に、成長の階段を上っています。

(つづく)