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◇愛情教育、この指とまれ◇その770◇ 令和の時代に挑戦しよう。 名産大3年生物語 vol.50竹澤 伸一
「そもそも名産大に入学を決めた目標の1つに、教員免許の取得があったのです。」後藤勇輝也くんは、3年前を思い返しながら語り始めました。
「自分の視野に入っている教員免許の1つが、高等学校公民科の免許です。高校公民科と言えば、現状では現代社会、政治経済、そして倫理という科目を教えることができる免許のことを言います。さらに新設の科目である公共も予定されています。公民科を教えるための知識は、膨大なものになると思うので、大変な道を選んでいると思いますが、それがすべて自分の血肉になるとも思っています。」
まったく後藤くんの言う通りだと思います。私ももと中学校社会科教師です。地理、歴史、公民を、中学生に教えるには、膨大な知識の蓄積が必要になります。しかもその知識は、日々更新されなければなりません。さらに、教科書に書かれている知識にとどまらず、接する子どもたちに好影響をもたらすような教養も身に着ける必要があります。要するに、教師は一生勉強なのです。
後藤くんを見ていると、「教師は一生勉強」という資質が、すでに十分身に着いています。「社会科公民科教育法」の模擬授業づくりでは、海洋環境の悪化から地域、そして地球環境問題へと切り込んでいく授業を展開しました。驚いたのは、海洋環境の事例に、東京湾稀少干潟で知られる「三番瀬」を持ってきたことです。「三番瀬」問題自体は、すでに長い歴史があり、よく知られている問題なので、その点は驚くことではないです。私が「へぇー」って思ったのは、私自身、「三番瀬」問題の専門家だからです。つまり、指導教官の研究対象を、自覚的に選んで教材化してきたのです。一種の挑戦です。私はとてもうれしくなりました。そして後藤くんは、実にみごとな授業展開をしました。
「教師は一生勉強」と強く自覚している後藤くん。しかもチャレンジ精神旺盛な後藤くん。こういう人には、間違いなく「伸びしろ」があります。長年、教員をやっていて、つくづく思うことがあります。「目の前にいるこの学生は、今がピークか、今後、伸びしろがあるか」という見極めです。もちろん後藤くんの「ピーク」は、現有の挑戦心、あるいは知的好奇心を失わなければ、永遠に高まり続けることでしょう。伴走者として、サポートを続けていきたいと思います。
(つづく)