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◇愛情教育、この指とまれ◇その795◇ 令和の時代に挑戦しよう。 名産大3年生物語 vol.75竹澤 伸一

今度は、「多対多のコミュニケーション」というより、「個対個のコミュニケーション」のお話をしたいと思います。就活支援の一環として、ES(エントリーシート)や履歴書作成のお手伝いを、ずっと手がけていることは、本連載でも度々記してきました。現4年生の大波が過ぎて、現3年生のインターンシップに向けたES作成のお手伝いが中心になりつつあります。

ESや履歴書のお手伝いは、典型的な「個対個のコミュニケーション」になると思います。お手伝いをする中で、学生個々の個人情報に深いところでタッチするので、1人1人慎重に進めています。

ところで、この夏から秋にかけて、私は、今まであまり経験したことのない機会に遭遇しました。7月に、インターネットラジオの番組に出演し、大学生に対する就活支援について、パーソナリティの方とやりとりをしました。その中で、「生涯就活支援1万人が目標」と宣言しました。もちろん、「3年生物語」に登場した、名産大の学生を念頭に置いた発言でした。

しかし、思いがけないことが我が身に起こりました。今夏から今秋の台風禍の被災地から、知人を通してボランティア要請があったのです。知人も含め、全国で何人もの方が放送を聴いていて、メールを通してESや履歴書のアドバイスを求めて来られることは想定していました。それは、夜間に対応してきたのですが、被災地で職を失った方々の、(再)就職のための履歴書のお手伝いは、まったく想定外でした。でも、長く暮らしてきた故郷の1つも甚大な被害にあっていたので、取るものもとりあえず出かけてみました。そうしたら、現地でまたもや想定外の事態が・・。公民館等に集まった方々は、今まで1度も履歴書を書いたことがないのです。自営の家業を継いでこられた方々が大半だからです。

「どこどこに、困っておられる方々が何人いらっしゃる」ことを把握するのは、「多対多のコミュニケーション」です。ようやく「その方々」にたどり着いて、履歴書のお手伝いをするのは、「個対個のコミュニケーション」になります。私は、思いがけず、大切な2種類のコミュニケーションを同時に学んできました。

今後しばらく、この「学び」は続くと思います。そして私は、違う意味の「現場」から学んだことを、ふだん目の前にいる学生たちに還元していきたいと思っています。

(つづく)