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◇愛情教育、この指とまれ◇その838◇アクティブラーニングで開花しました。 名産大4年生物語 vol.28竹澤 伸一

「まさかたった数日で、しかもネット通販を使わずに、先生があの本を探し出してくれるとは思いませんでした。先生は、本の魔術師ですね。」

廣瀨英司くんは、未だに信じられないという顔つきで語り出しました。

「そもそも『消防筋肉』なんていう本が、この世に実在すること自体、実際に手に取った後も半信半疑です。世の中には、本当にマニアックなものがあるものなのですね。」

3年生ゼミの最初に、共同研究のテーマを決めます。そして、私が『基幹本』と読んでいる、それぞれの学生の研究のネタの中心になる本を手に入れます。一般書、普及書なら学生個々でも十分に対応できますが、中にはレアな本もあります。『消防筋肉』などは、その典型でした。

「今時ネット通販なら、数日待てば大抵の本が手に入るのに、なぜ先生は実店舗にこだわるのですか?」廣瀨くんは、興味津々の様子で聴いてきました。

「だって、電子書籍ならともかく、ネットだと、その本を実際には読めないよね?思うに、本なんていう物は、アウトラインだけ読んで買うものではないと思うんだよね。どうしても手に入れたい文献、例えば海外の文献なんかは、仕方なく通販に頼ることもあるけど、少なくとも国内にある物は、実際に手に取ってめくってみたいよね?」こうして私は、廣瀨くんを「本の世界」に引きずり込んでいったのです。

「先生は、実際にどうやって、この『消防筋肉』を見つけたのですか?」廣瀨くん、さらに突っ込んできます。こうなればしめたものです。

「長年本を探していると、勘が働くんだよね。名古屋でもいいんだけど、本気で見つけようと思ったら、都内のベストスポットが何か所かあるんだ。東京駅周辺、神田神保町、新宿や早稲田近辺・・。何軒か歩いてみて、まず書棚の中から自分で発見する。そして、網にかからなかったら、知り合いの店員さんに聴く。そしてどうしても窮したら、ある古書店の店主に電話します。それで大抵はなんとかなります。」

廣瀨くん、夢中で聞いてくれました。読者の皆さま、いかがですか?大学生が本を読まないなんてウソ。こんな本の魅力の伝え方も、広い意味でのアクティブラーニングだと思います。

(つづく)