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◇愛情教育、この指とまれ◇その848◇アクティブラーニングで開花しました。 名産大4年生物語 vol.38竹澤 伸一

公務員試験対策自主勉強会に参加しつつ、教育実習で自分を磨き、民間企業への就活にも出向きながら、卒研の共同研究で「いじめ問題」に向き合う。そんな四重奏の時期が、中嶋涼太くんにはありました。それで、時々、自分の中で煮詰まると、こんがらかった糸をほどくためにも、研究室に顔を出すということになっていたのです。

「あの頃は、自分の中で本当に煮詰まっていました。でも、自主勉強会では、M先生や他のメンバーにずっと励まされていました。教育実習が秋になって、卒研の詰めと重なった時には、先生や他の共同研究者へのラインの回数が増えました。公務員対策にのめり込むあまり、おろそかになっていた民間企業への攻めは、短期集中でおこなうことで、いくつか結果を出すことができました。卒研のデータ収集は、他のメンバーの応援もあって、なんとか完遂することができました。本当に周囲の人たちに助けられました。感謝しかありません。」

中嶋くんとのマシンガントークは、一段落して、より深いものになっていきました。

「中嶋くんさ、いじめ問題の解決法についての見解って、今でも変わらない?」

私は、あえて水を向けてみました。あとの連載で取り上げますが、中嶋くんは、「いじめ問題」にも直面し得る職業に就きます。

「はい。やはり現状の対策では、いじめ問題の根本的な解決にはならないと思います。私たちの研究班は、やむにやまれず、いじめ問題を経済で切るなどという無謀な研究に挑戦しました。もし、その子がいじめによって亡くならなかったら、生涯どれだけの収入があったのだろうということを、遺失利益として計上し、いじめに関する裁判で請求される損害賠償額を算出して、比較検討するという、おそらく全国発の試みをしました。自分たちの代表のゼミ生が、経済教育学会で発表した際には、会場はずいぶん騒然としたみたいですが、いじめは経済的損失にしかならないという研究は、一石を投じたと思っています。他の中学校でも授業化されるみたいですし。」

中嶋くんと私の会話のセッションは、ますます深まっていきます。

(つづく)