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◇愛情教育、この指とまれ◇その849◇アクティブラーニングで開花しました。 名産大4年生物語 vol.39竹澤 伸一

「2年生の教職科目で、教職論を取った時は、すごく衝撃を受けました。教職員の服務や研修とか、教職員を取り巻く社会情勢などを学ぶうちに、自分たちが生徒だった時に、先生たちがこのような苦労や、喜びを味わっておられたことを知って、感謝の念がわいてきました。」中嶋涼太くんは語ります。

公立中学校教員歴が長い、生粋の実務家である私が手がける「教職論」の授業は、「論」とは付きますが机上の空論ではありません。服務や研修、あるいは社会情勢の複雑化を反映した、ある面での教職の困難性を示すストーリーは、「リアルガチ」な現場性を持っています。読者の皆さまもすでに十分ご存知のように、教職の世界は世相の縮図と化しています。教職課程専攻の学生でさえ、少々怯(ひる)まずにはいられない、教育界の現状を、あえて見せる場合もあります。

それでも、中嶋くんをはじめ、「教職の勇者」たちは、「教職論」を乗り越え、3年生での教科教育法を消化し、教育実習において深い学びを得て、「教職実践演習」という最後の関門までたどり着きました。私は、4年生の秋学期に、「教職実践演習」に集った「勇者」たちを、まず褒めたたえました。卒業単位にプラスして教職独自の単位も取得しているので、総取得単位数はとんでもないことになっています。そして、教育実習の成果と反省を経た後で・・、私は再び「鬼」と化します。

本連載の中で何度か、「教職実践演習」について触れました。また、名産大ホームページの「スポーツコース」の記事の過去ログには、「教職論」と「教職実践演習」の授業の一断面が、写真つきで公開されています。

「鬼」と化す、と記しました。安易な気持ちで、学位授与式当日に、取得教科の教員免許状を受け取ってほしくないからです。そこで「教職実践演習」の授業では、90分間のフルアクティブラーニングバージョンで進行します。「ショートケースメソッド」という方法を使い、学校現場や関連の場所で、毎日・毎週・毎月・毎年のように起こっているできごとを少しデフォルメして、「ショートケース」を作成し、登場人物の追体験を通して、学生から様々な思考を引き出しています。

中嶋くんは述懐します。「先生が示されたショートケースの中で、いじめ問題を扱った回がもっとも印象に残っています。」

(つづく)