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◇愛情教育、この指とまれ◇その867◇アクティブラーニングで開花しました。 名産大4年生物語 vol.57竹澤 伸一

「自分の周囲に20歳代の若者がいなくて、今の大学生がどんな考えを持っているのか知りたくて、名産大に入学したんですよ。」

岡山順子(オカヤマ ジュンコ)さんは、こう言って破顔一笑されました。

「日々の授業や、サークル活動、もちろんゼミを通しても、50歳ほど年の離れた男女の考え方に触れて、毎日のようにコミュニケーションを楽しんでいます。」

私は、もちろん岡山さんの存在は存じていました。けれども、担当する専門科目である「地域環境認知論」の授業に参加していただいて、毎週、エネルギーとパワーに圧倒される時間を共有することとなりました。とてもありがたいことでした。

4月の授業開きの時から、岡山さんはフルスロットル状態でした。当初は、可動机ではない環境の教室だったため、私と参加学生のやり取りが1対1になりがちだったのですが、ある授業では、学生の全発言に占める岡山さんの発言の率が、4割近くになることもありました。「地域環境認知論」の授業は、フルアクティブバージョンで進行し、名産大が立地する尾張旭市と、個々の学生の出身母体である全国の自治体の環境(行政)を比較検討する形で進めたので、地元尾張旭市を知悉(ちしつ)する岡山さんの発言機会が増えるのは、自然なことではありました。

そこで私は、あえて岡山さんの「虚を突く」行動に出たのです。たとえ岡山さんのような博識な方であっても、「知っているようで、実は知らないこと」に、グループディスカッション内容をシフトチェンジしたのです。
ちょうど、ラウンドテーブルが活用できる教室に移動できたことをきっかけにして、シラバスに予定していた内容の部分変換をしたのです。アクティブラーニングの神髄がここにあります。授業参加者の実態に応じて、変えるべきものは変えるのです。そして「意外性」を、存分に楽しんでいただくのです。元来、学びは楽しいものなので。

岡山さんは、「幼児から高齢者まで対応可能な人間」であるという自覚をお持ちです。そこで(少々失礼とは思いましたが)、岡山さんを起爆剤にして二十歳過ぎの若者の認識を変えることにしました。

(つづく)