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◇愛情教育、この指とまれ◇その880◇アクティブラーニングで開花しました。 名産大4年生物語 vol.70竹澤 伸一
私に、年齢相応の(笑)ネクタイをプレゼントしてくれた、4年生(卒業生)2人が訪ねてくれた次の日の夜に、すでに解禁後の就活で動いている3年生が3人、研究室を訪れました。
「先生、近所のスーパーでコロッケを買ってきました。単身赴任で、ふだんろくなものを食べていないでしょう。」と言った学生が、レジ袋から出したのは、10個の大ぶりなコロッケでした。私はうれしくなって、引き出しの奥に隠しておいた、貰い物の高級紅茶を、思わず振る舞ってしまいました。
コロッケと高級紅茶という、妙な取り合わせの、ささやかな晩餐(ばんさん)が始まりました。その時、3年生の1人が、ふとこんなことをつぶやきました。
「卒業して行った4年生の先輩たち、もはや歴史になってしまったんですね。」
私も、他の3年生2人も、コロッケを片手に持ったまま、ハッとして声の主を見つめました。少しの沈黙の後、最初に口を開いたのは私でした。
「そうだね、彼らは常に君たちの1年先を行っていて、なんだかんだ言っても、君たちの道しるべになってきたんだよね。その彼らが、名産大に来ることは、もうないんだよね。でも彼らは、確実に名産大に爪痕(つめあと)を残してくれたよね。」
コロッケをトレーに戻しながら、もう1人の学生が、こう言いました。
「私が借りているアパートの、他の何部屋には、4年生の先輩が住んでいたんですよ。それが急にパタパタと出て行かれたんです。その1部屋に、翌々日だったかな、目新しい学生が入居したんです。なんか急に、自分が年を取った気がして・・。」
「そうそう、俺もそう。」最後の1人の学生が、コロッケを右手に持ったまま、割って入りました。
「自分の隣にいた4年生の先輩から、この前、冷蔵庫をもらったんですよ。先輩が帰った後、電源を入れて冷蔵庫を開けたら、缶ジュースが何本か入っていて・・。なんか泣けてきちゃいました。自分が、来年引っ越す時、冷蔵庫が壊れてなかったら、同じことをしようかと・・。」
名産大に、確かな「歴史」を築いた卒業生の諸君、どうか幸あれ!
※次回から、新シリーズを開始します。よろしくお願いいたします。
(つづく)